本読みました。「Webデザイン・コミュニケーションの教科書」

Webサイトを通じて、ユーザーとどうコミュニケーションを築きあげるか。また、サイト構築にあたり、発注者やチームとのコミュニケーションをどう取っていくか。具体的な事例をあげながら、その本質に迫る、まさに「教科書」の名にふさわしい良書でした。

「Webデザイン」と聞くと、とかく技術・理論・トレンドの話に終始しがちですが、この本で一貫して語られるのは、「何の為の技術・理論・トレンドか=相手に伝えるべきことを伝えるため」、つまり、関わる人とのコミュニケーションの大切さです。

技術・理論は無論重要ですが、それらだけでは十分ではありません。「相手が(本当は)何を欲しているのか」それを汲み取る力が必要だ、ということをこの本は言っています。例えば、発注者が「サイトをリニューアルしたい」という要望の裏には、「サイトを通じた通販の売上を増やしたい」等の目的があるはずです。「リニューアルしたいと言っているから、トレンドに乗った見映えの良いサイトにする」のではなく、本来の目的達成・問題解決のために、発注者との深いコミュニケーションが必要になります。

また、Webデザインは、明確な理由(根拠)に裏打ちされるべき、と、この本を読んでいてあらめて感じました。なぜアイコンを使用するのか、なぜこの大きさなのか、どうしてこのフォントサイズなのか…。発注者から質問された時に、それらを「何となく」ではなく、明確な理由を説明できなくてはなりません。この辺りは、Webデザインに限らず、デザイン全般、あるいはビジネスにおいても、当てはまることだと思います。自分でも常に自問自答しながらデザインしていかなくては、と思わせられました。

「Webデザイン・コミュニケーション」とありますが、この本は決してWebデザイナーのためだけの本ではありません。繰り返しになりますが、あくまで「Webデザイン」というひとつのものを通じて、作成に関わる人間、ユーザーとのコミュニケーションをどう考えるか、について語られている本ですので、サイトを発注する側、さらには、業種に関わらず社会人になりたての方、仕事上で人間関係に悩みを抱えている方など幅広い方にオススメできる本だと思います。
また、日常生活において、パソコンの操作やWebサイトについて詳しい人に聞いた時、あるいは家電量販店の店員さんに質問した時など、相手が生き生きと専門用語を羅列しながら、聞いてもいないことまで延々と喋り続ける・・・そんな経験ありませんでしょうか?そんな方たちにも、そっとこの本を手渡したいな、と思いました(笑)