成田祇園祭Ustream配信に思う (後編)

成田祇園祭Ustream配信に思う (前編)
成田祇園祭Ustream配信に思う (中編)の続きです。

成田市PRにおける、Ustream配信の今後の課題

そのほかにも色々気になる点等ありましたので、課題として列挙したいと思います。

1. CMのあり方
成田ケーブルテレビ版には、(放送と同じ映像を利用しているからだと思いますが)、通常のTVCMが流れていました。これも前述のライブ感を損なう原因かなと思います。CMが悪いとはいいませんが、ライブ感を損なわないタイミングや内容など、吟味する必要があると感じました。
また、オフライン時の映像についても、配信状況の予定や案内、ダイジェストや静止画など、オンライン時にいかに集客するかを意識しながら構成する必要があるかと思います。

2. 回線環境の整備
私も昨年(2011年)春の成田太鼓祭でライブ配信を試験的にやらせていただきましたが、その際痛感したのが、「屋外での回線確保」です。
WIMAXなどモバイルWi-fiの普及により、高速通信が屋外でも可能となりましたが、やはり映像を配信するのは、連続的にパケットを送信する必要があるのか、どうしても不安定になってしまいます。
これは通信業者の都合ですので、配信側だけの努力ではなんともならない問題かと思います。が、あえて提言すれば、観光PRの取り組みとして、商店街や行政などがwi-fi(フリー、または許可制)を町中に設置し、開放すれば、ライブ配信などで街の魅力を市内外、国内外に発信することに寄与できるのではないかと思います。そのような取り組みをしている商店街もあるそうなので、できれば行って視察してみたいです。

ちなみに、現在、成田駅前再開発ビルのなかにつくられる予定の中規模ホール施設のパブコメで、「wi-fi環境の整備」を提言しました。ホールは大抵、音が漏れないよう防音となっており電波の入りが悪いです。一方、今後は公演をUstream等で配信したい、といった要望が増えてくるものと私は予想します。その際、舞台上で回線を使用したいといったニーズに応えるため、wi-fiの設置は必要と感じています。(さらに「ちなみに」なんですが、行政の反応はというと、いまいちピンときてなさそうでした・・・)

3. インタラクティブ性(双方向性)の活用
今回、記事にはほとんどふれませんでしたが、Ustreamが既存のメディアと決定的に違うところは、ソーシャルストリームという、視聴者側からのコメントがリアルタイムに共有できるところにあります。このインタラクティブ性こそ、最大限生かされるべき特徴かと思います。

ただ、この辺の加減はむずかしいですね。イベントの特性と、視聴者が何を求めているのかで変わってくると思います。例えば、宇多田ヒカルさんのライブが過去にUstream配信されましたが、ここで配信側や出演者がソーシャルストリームと絡むことはまず不可能だし、視聴者側にも求められていないと思います。一方、座談会やセミナーなどは、質問などを積極的にソーシャルストリーム(視聴者側)から拾うことで、現場・視聴者側に一体感や広がりを持たすことができます。

成田のイベントを発信する際、どちらがよいかを意識しながら配信のあり方を考えていく必要があると思っています。

むすびに

とまあ、こうして書き連ねてみると、結果的に、一日大変な思いをして配信してくださる方をしり目に色々とケチをつけてしまう内容となってしまったのですが、もちろん、こうした取り組みをした2社には大いなる尊敬と感謝の念を抱かざるを得ません。(とってつけたようだな汗)

こうして配信をすることで、成田の魅力が伝わり、「へ~こんなことやってるんだ、おもしろそう!今度行ってみたいな!」と思う人がひとりでもいれば、本当にうれしいことだと思います。

まちの活性化のためにも、これからもどんどんこうした配信や取り組みが増えていけば、と願ってやみません。
くっそう、俺もなんかしなきゃ!!(大変刺激を受けました!MCEFactoryさん、成田ケーブルテレビさん、ありがとうございます!)

成田祇園祭Ustream配信に思う (中編)

成田祇園祭Ustream配信に思う (前編)の続きです。

Ustream配信で「ライブ感」を作り出す要素

今回、「鮮明でマルチアングルでわかりやすい映像」よりも、「粗く画角に制限のある映像」のほうによりライブ感、熱気を感じ、「そこにいるつもり感」とも言える「疑似体験感覚」、そして何よりも「その場に行きたい」という参加意欲をかき立てられたのはなぜでしょうか。自分なりに整理してみたいと思います。(なお、繰り返しになりますが、あくまで個人的な感覚ですのであしからず…)

1. 一次情報に近いか否か
「アングルを替える」という行為は、そこに編集側の「演出」が入ることになります。成田ケーブルテレビ版のマルチアングルでの配信に対し、 MCEFactory版は1カメで、カメラ切替による映像演出がありませんでした。未編集・未演出のMCEFactory版の配信は、より一次情報(私は直接見た、会った、直接聞いた、 という自らが仕入れた現場情報)に近い映像だったことが、ライブ感を高めた理由だと考えます。

2. テレビの番組フォーマットに近いか否か
成田ケーブルテレビ版の「鮮明でマルチアングルでわかりやすい映像」は、いかにも「テレビ的な映像」でした。(ケーブルテレビの生放送番組と同等なので、当たり前と言えば当たり前ですが…)うまく言えませんが、「完成されたパッケージ製品」というか・・・普段見慣れてるテレビのフォーマットに近い形であればあるほど、テレビ以上のものをそこから感じることが出来ず、ライブ感が損なわれるような、そんな気がします。

3. 配信者の息づかいが感じられるか
細かにカットを替え、より完成された「テレビ番組」の形に近づけば近づくほど、カメラマン=配信者を意識できなくなります。(このこと自体、テレビ的には良いことなのだと思います)一方、1カメで、ズームしたりパンしたり…そこには「ここを見せたい」という配信者の思いが伝わります。現場で汗を流しながら、必死でカメラを動かす配信者の姿が目の前に浮びます。映像から配信者の息づかいが感じられるか、配信者をいかに身近に感じることができるか、これもライブ感、その場にいる感を高める大きな要素だと思います。

4. 画質の粗さ
画質の善し悪し、これはライブ感というより、「現地に足を運んで、実際に見てみたい」という気持ちを駆り立てるのではないかと思います。配信環境の違いにより、MCEFactory版は、成田ケーブルテレビ版に比べ、正直画質の面では劣っていました。成田ケーブルテレビ版は、山車の細かな装飾が見えるほど鮮明で、映像そのもので満足してしまうレベルでした。一方、画面から詳細がわからないMCEFactory版は、見てるともやもや、やきもきしてきます。「ああ、これ実際見たら迫力あるだろうなあ、綺麗だろうなぁ」という欲求が 高まります。「詳細を見せない(見せられない)ことで、現地へ行ってみたいという気持ちを起こさせる」といった効果があるのではないでしょうか。(ちなみに、私はこの気持ちの動きを「パンチラ理論」と名付けています(笑) )

Ustreamはテレビの生放送に変わるのか

Ustreamはテレビにとってかわるものなのでしょうか。Ustreamの醍醐味は「ライブ感」にあると思います。前項であげたライブ感を作り出す要素を考えると、テレビ番組の面白さとUstreamの面白さは必ずしも一致しない、というのが自分の考えです。逆に言うと、優劣をつけるものではなく、共存・棲み分けができるものだと考えます。完成された映像と一方向に届けるパッケージとしてのテレビ番組、未編集・未演出で一次情報をできるだけ生の状態で届けることでライブ感を強調するUstream配信(本当はここに双方向性についても付記したいですがそれはまた別の機会に)、誰に向けて、どんな目的で映像を配信するかによって、使い分けたらよいのではと思います。


他にも書きたいことがあるのですが、またまた長くなってしまったので、次回に続きたいと思います。(まとめ下手だなおい)

成田祇園祭Ustream配信に思う (前編)

成田の夏の風物詩、成田祇園祭が今年も7月6日~8日の3日間にわたり、盛大に行われました。

今年、(観光的な視点で)際立っていた点は、Ustream配信(インターネットでの生中継)が行われていたことではないでしょうか。

成田祇園祭Ustream中継画面キャプチャ (MCEFactory)

成田市観光協会協力の下、MCEFactoryと、地元ケーブルテレビNCTVがそれぞれ3日間、成田祇園祭を中継し、成田のPRに一役買っていました。

今年は用事や仕事が重なり、無念にも祭りに繰り出せなかったのですが、この2社のおかげで、Ustreamでの中継で祭り気分を味わうことが出来ました。

ただ、それぞれのUstream中継を見て、課題も改めて浮き彫りになってきました。ここで、思ったことをつれづれと書きたいと思います。

なお、これから書く内容はあくまで個人的な感想に基づくものです。

MCEFactory版 成田祇園祭中継
http://www.ustream.tv/channel/%E6%88%90%E7%94%B0%E7%A5%87%E5%9C%92%E7%A5%AD-2012

成田ケーブルテレビ版 成田祇園祭中継
http://www.ustream.tv/channel/narita-gion

配信環境(憶測含む)の違いについて

MCEFactory版は、初日大本堂前の総踊りの際、1カメで階段の上から俯瞰で撮っていました。インターネット回線はポータブルwi-fiを利用していたものと思われます。

成田ケーブルテレビ版は、ケーブルテレビでの生放送の画像をそのままUstreamで中継していたと思われます。複数カメラからの映像を切り替えながら模様を放送していました。

それぞれの配信を見た所感

 MCEFactory版は、回線状況上、致し方ないのですが、やはり画像が粗く、また1カメでしたので、パンやズームなどは駆使していましたが、やはり各町のアップや別アングルで見たい、といったところの欲求が出てしまったのは否めません。

一方、成田ケーブルテレビ版は、放送用に局に飛ばした映像を優先でインターネット回線に載せているので、映像が半端なく綺麗でした。また、地上からの寄りの映像を中心に、複数のカメラの映像をスイッチングしながら、わかりやすい映像で祭りの様子を楽しむことができました。

こうして文字だけ見ると成田ケーブルテレビの映像の圧勝、という印象を受けますが、不思議なことに、個人的にはMCEFactory版の方にライブ感を強く感じました。

成田ケーブルテレビ版の、鮮明かつ複数カットをスイッチングした映像は、編集・完成されたテレビを見ている感覚になり、「いま」成田で行われているイベントの熱気さというのが、いまいち伝わりづらかったです。MCEFactory版は映像が粗く、1アングルなのに、なぜか現場の熱気や「現地にいますぐ行って見たい!」という気持ちをかき立てられました。
この心の動きは、自分自身とても新鮮で、なぜだろう、と自分なりに考えてみました。

・・・と思いましたが、エントリーが長くなってしまいましたので、次回後編に続きを書きたいと思います。