小川プロ「三里塚の夏」を観ました。

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小川プロダクション『三里塚の夏』を観る――映画から読み解く成田闘争 (DVDブック)

成田を撮る男(と勝手に呼んでいるw)カメラマン中島氏より、小川プロダクションのドキュメンタリー映画「日本解放戦線 三里塚の夏」のDVDがついた「小川プロダクション『三里塚の夏』を観る」という本が出ているという情報をいただきました。

小川プロダクションは、成田空港建設時における「三里塚闘争」を農民目線で撮り続けた映画プロダクションです。何本も三里塚関連の作品があるものの、作品自体はDVD化されておらず、上映会等で観るしか目に触れる機会がありませんでした。同氏に誘われ、以前佐倉の歴博に何作目かを観たのですが、その迫力に圧巻。以来、手元に欲しいとずーっと思っていたのですが、前述の通り、メディアとして販売はしていなかったため、叶いませんでした。諦め、次回の上映会を待っていた時にこの本の存在を知り、ためらわず購入しました。

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本に添付されているドキュメンタリー映画は、成田空港建設が決まった三里塚の地で生活をする農民たちの戸惑い、怒り、そして葛藤が赤裸々に映し出されています。投石などで抵抗していく農民たちはやがて武装しだす…機動隊との衝突や、青年たちの話し合い、トランシーバーとのやり取り、農民、農婦たちの思いなどが、緊張感溢れる映像で映し出されます。農民たちの目の輝き、半端ないです。

最後の農婦の独白とその表情。息子が西瓜を押すシーンが印象的でした。

当然、どれも演技ではなくリアルに起こった出来事。三里塚に住む身として、この映像は絶対に観ておくべきと強く感じました。自分が住んでいる地で、かつて何が起こったのか。これからも勉強していきたいと思います。

他の作品も、いつかはDVD化されないかなぁ。

小川プロダクション『三里塚の夏』を観る――映画から読み解く成田闘争 (DVDブック)

本読みました。「海賊とよばれた男」

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海賊とよばれた男 上
海賊とよばれた男 下

2013年本屋大賞第1位。とにかく評判がよく、尊敬している先輩も大絶賛していたので購入。
「永遠の0」百田尚樹さんの作品。出光興産の創始者出光佐三氏(作中では国岡鐵造)の激動の半生を史実に基づいて描いています。

序章の数ページで感動して涙ぐんだのは、初めて…(笑)
第2次世界大戦ですべてを失った石油小売店「国岡商店」。失業者が街に溢れる中、国岡商店も多分に漏れず、経営困難な状況に陥っていた。誰もがリストラ已む無しと考える状況の中、店主国岡鐵造が放った言葉は、「ひとりの馘首もならん!」
社員を命がけで守ろうとする姿勢・行動は、胸を打つものがあります。そんな店主を慕い、信じてついていく店員たち。社長と社員の絆が熱く描かれています。

とにかく、暑苦しいまでに熱い男たちがたくさん出てきます。「こんな人になりたい」何度思ったことか。

社員を信頼し、会社より日本の将来を憂い、己の信念を最後まで貫き通した男の半生を追うことで、男の生き様というものを深く考えさせられました。経営者とはかくあるべき−下手なビジネス書読むより、この本読んだほうが、よっぽどいいんじゃないのか(笑)

個人的には国岡を助け、決して諦めるなと励まし、身内から疎外されてもそばで国岡商店の繁栄を見届けた日田重太郎が出てくるシーンは、涙なくしては読み進めることができませんでした。日田さん・・・あんたなんて大きい人なんだ。。。

上下巻ボリュームがたっぷりとあるものの、文章は読みやすく、次から次への降り掛かる苦難とそれを熱い志で乗り越える国岡商店の活躍が気になって、読むのが止まらなくなり、あっという間に読み終えてしまいました。

これは絶対オススメ!

本読みました。「まだ科学で解けない13の謎」

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まだ科学で解けない13の謎

ずいぶん前だけど、「タイムマシン部G」というPodcast番組で紹介されて、すごく気になってた本。
とにかく、各章のタイトルだけ読んでみたくなる!

1 暗黒物質・暗黒エネルギー――宇宙論の大問題。でもそんなものは存在しない?
2 パイオニア変則事象――物理法則に背く軌道を飛ぶ二機の宇宙探査機
3 物理定数の不定――電磁力や強い力、弱い力の強さは昔は違っていた?
4 常温核融合――魔女狩りのように糾弾されたが、それでよかったのか?
5 生命とは何か?――誰も答えられない問い。合成生物はその答えになる?
6 火星の生命探査実験――生命の反応を捕らえたバイキングの結果はなぜ否定された?
7 ”ワオ!”信号――ETからのメッセージとしか思えない信号が一度だけ……
8 巨大ウイルス――私たちはウイルスの子孫? 物議をかもす異形のウイルス
9 死――生物が死ななければならない理由が科学で説明できない
10 セックス――有性生殖をする理由が科学ではわからない
11 自由意志――「そんなものは存在しない」という証拠が積み重なっている
12 プラシーボ効果――ニセの薬でも効くなら、本物の薬はどう評価すべきか?
13 ホメオパシー(同種療法)――明らかに不合理なのになぜ世界じゅうで普及しているのか?

ヤバイっしょ!?ね、ヤバくない?(興奮するの俺だけ?)

「科学」とあるけれど、逐一「どうしておかしいのか」解説が文中でなされているので、理系でなくても読めると思います。(ところどころ理解しきれないところも正直あったけど。。。)

各章は、各分野における「通説」に当てはまらない、「変則事象」について書かれているのですが、ただの理論展開や解説にとどまらず、その「変則事象」を発見し、仮説を唱えた科学者たちの顛末などが書かれているため、興味深く読むことができました。さしずめ、「栄光なき天才たち」みたいな感じかしら(笑)←ちょっと違う?!

この世の中は、科学で説明しきれないことが、まだまだ数多くある。っていうか、ほんの少しのことしか説明できない。宇宙のこととか、わからないことだらけみたい。そして、きっと、僕が生きている間にはいくつかは解明されるかもしれないけれど、きっとほとんどの謎は、謎のままなんだろう…うー、気になるなぁ。けど、「わからない」ってところが、魅力的でもあるんだけれども。いやー、この世の中って、わからないことだらけで楽しー!

本読みました。「メディアの仕組み」

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わかりやすいニュース解説で定評のある池上彰さんと、Twitterをはじめ、インターネットを利用した新しいメディアに精通している津田大介さんとの共著。対談形式で、テレビや新聞、ネットの仕組みについて解説している本です。

池上彰さんがニュースを解説する際、何に心がけているのか、NHKアナウンサー時代から培って来たものや、フリーになってからの経験をふまえながら、明かしています。どうすれば「わかりやすいか」「(視聴者や読者は)何を知りたいのか、求めているのか」を徹底的に考え抜いた末の、いまの解説の形なのだなぁ、とあらためて納得した次第です。

また、原発問題に関して、「マスメディアは情報を隠蔽している」といったことについての真偽、各局が特番を組む中、「テレ東の一人勝ち」と騒がれた昨年の池上彰さんの選挙特番のことについても語られており、興味深く読むことができました。

個人的には、仕事柄、「新聞の仕組み」の章が面白かったです。「なぜ新聞が読まれなくなったのか」について、津田さんの「『前提』が抜けた巨大な連載コンテンツ」という言葉には、「はっ」とさせられました。また、新聞社のデジタル化の取り組みについては、私もこれからの「新聞社と販売店のあり方」みたいなことを頭で考えてはいたのですが、それとは違った「これからの形」には、目から鱗、なるほどなーっと感心しました。

対談形式なので、あっという間に読めちゃいます。内容も面白かった。しかも、ポイントとなる文章には、あらかじめマーカーがひいてあるので、わかりやすい本の作りになっています。
ちなみに、今回、電子書籍ではなく紙の本で読みましたが、やっぱり紙のほうが頭に入ってきやすい気がしました(笑)
さらにさらに、「店頭に並ぶ初版には電子書籍データがついている」ということで、久々にamazonではなく、本屋さんに行って来たのですが、たまの本屋さん、やっぱりいいですね!目的の本を探して買うのはamazonのほうが楽ですが、本屋さんは、知らない本に出会ったりする楽しみがありますね。

テレビ、新聞などの既存のメディアと、ネットの新メディア、これらは対立するものではなく、それぞれの役割をより強め補完し合いながらこれからも両立していくもの。自分も、それぞれのメディアのよいところ、足りないところを見極めながら、効果的に情報を拡散し、街の活性化などに利用できたらなーと改めて思ったのでした。