本読みました。「嫌われる勇気」

「嫌われる勇気」というタイトルと、帯の「自由とは他者から嫌われることである」というキャッチコピーから、近年よく見る「言い切り型自己啓発書」と思いきや、(いい意味で)予想に反して、中身はぜんぜん違いました。

フロイト、ユングに並ぶ心理学者アドラーの教えを、哲人と青年の対話形式でわかりやすく解説。ただ体系的に解説しているわけではなく、「青年」にアドラー心理学に懐疑的、時に否定的な立場をとらせているので、わかりづらいところもすんなり理解できます。

アドラー心理学では、トラウマの存在を否定し、過去にとらわれず、「いま・ここ」にフォーカスをあてています。「不安だから外に出たくない」という原因論ではなく、「外に出たくないから不安という感情を作り出している」という目的論で語られるアドラー心理学は、確かに衝撃でした。発想の転換というか、物事の捉え方ひとつで、自分の感情が整理されたり、余裕が持てるということが、実感できる考え方でした。

「他人が自分をどう思うか、はコントロールできない。コントロールできるのは自分の感情だけである」といった考え方は、文中にもありますが、「7つの習慣」にも相通ずるところがあると思いました。(ってか、アドラー心理学のエッセンスを取り入れているのだと思います)

ここ数年の自分の気持ち、というか「こうあろう」とぼんやり感じていた自分自身の在り方が、アドラー心理学のそれと似通っている部分が多々あったので、非常に共感出来る内容でした。しかし、実践するには大いなる「勇気」と「覚悟」が必要だとも改めて実感しました。

冒頭にも書きましたが、タイトルや帯のキャッチコピーは、「嫌われる」ことが幸福への一歩、みたいな印象を与える気がして、正直あまり好きではありません。(目を引いたり、勘違いして手に取る人がいることは否定しませんがw)

アドラー心理学は、生きづらさ、息苦しさを感じることの多い現代を生きる人の何人かには、福音になるのではないでしょうか。実践とまではいかなくとも、このようなものの見方がある、と知っているだけで、ずいぶんと生きやすくなると思います。
とても読みやすく、物語としても引き込まれるので、あっという間に読んでしまうと思いますが、読書が苦手な方は、アドラー心理学関連の漫画もたくさん出ているので、そういったところから入るのもいいかもですね。

まんがで身につく アドラー 明日を変える心理学 (Business Comic Series)
マンガでやさしくわかるアドラー心理学
コミックでわかるアドラー心理学 中経☆コミックス
・・・いずれも読んでませんが。。。w