成田祇園祭Ustream配信に思う (中編)

成田祇園祭Ustream配信に思う (前編)の続きです。

Ustream配信で「ライブ感」を作り出す要素

今回、「鮮明でマルチアングルでわかりやすい映像」よりも、「粗く画角に制限のある映像」のほうによりライブ感、熱気を感じ、「そこにいるつもり感」とも言える「疑似体験感覚」、そして何よりも「その場に行きたい」という参加意欲をかき立てられたのはなぜでしょうか。自分なりに整理してみたいと思います。(なお、繰り返しになりますが、あくまで個人的な感覚ですのであしからず…)

1. 一次情報に近いか否か
「アングルを替える」という行為は、そこに編集側の「演出」が入ることになります。成田ケーブルテレビ版のマルチアングルでの配信に対し、 MCEFactory版は1カメで、カメラ切替による映像演出がありませんでした。未編集・未演出のMCEFactory版の配信は、より一次情報(私は直接見た、会った、直接聞いた、 という自らが仕入れた現場情報)に近い映像だったことが、ライブ感を高めた理由だと考えます。

2. テレビの番組フォーマットに近いか否か
成田ケーブルテレビ版の「鮮明でマルチアングルでわかりやすい映像」は、いかにも「テレビ的な映像」でした。(ケーブルテレビの生放送番組と同等なので、当たり前と言えば当たり前ですが…)うまく言えませんが、「完成されたパッケージ製品」というか・・・普段見慣れてるテレビのフォーマットに近い形であればあるほど、テレビ以上のものをそこから感じることが出来ず、ライブ感が損なわれるような、そんな気がします。

3. 配信者の息づかいが感じられるか
細かにカットを替え、より完成された「テレビ番組」の形に近づけば近づくほど、カメラマン=配信者を意識できなくなります。(このこと自体、テレビ的には良いことなのだと思います)一方、1カメで、ズームしたりパンしたり…そこには「ここを見せたい」という配信者の思いが伝わります。現場で汗を流しながら、必死でカメラを動かす配信者の姿が目の前に浮びます。映像から配信者の息づかいが感じられるか、配信者をいかに身近に感じることができるか、これもライブ感、その場にいる感を高める大きな要素だと思います。

4. 画質の粗さ
画質の善し悪し、これはライブ感というより、「現地に足を運んで、実際に見てみたい」という気持ちを駆り立てるのではないかと思います。配信環境の違いにより、MCEFactory版は、成田ケーブルテレビ版に比べ、正直画質の面では劣っていました。成田ケーブルテレビ版は、山車の細かな装飾が見えるほど鮮明で、映像そのもので満足してしまうレベルでした。一方、画面から詳細がわからないMCEFactory版は、見てるともやもや、やきもきしてきます。「ああ、これ実際見たら迫力あるだろうなあ、綺麗だろうなぁ」という欲求が 高まります。「詳細を見せない(見せられない)ことで、現地へ行ってみたいという気持ちを起こさせる」といった効果があるのではないでしょうか。(ちなみに、私はこの気持ちの動きを「パンチラ理論」と名付けています(笑) )

Ustreamはテレビの生放送に変わるのか

Ustreamはテレビにとってかわるものなのでしょうか。Ustreamの醍醐味は「ライブ感」にあると思います。前項であげたライブ感を作り出す要素を考えると、テレビ番組の面白さとUstreamの面白さは必ずしも一致しない、というのが自分の考えです。逆に言うと、優劣をつけるものではなく、共存・棲み分けができるものだと考えます。完成された映像と一方向に届けるパッケージとしてのテレビ番組、未編集・未演出で一次情報をできるだけ生の状態で届けることでライブ感を強調するUstream配信(本当はここに双方向性についても付記したいですがそれはまた別の機会に)、誰に向けて、どんな目的で映像を配信するかによって、使い分けたらよいのではと思います。


他にも書きたいことがあるのですが、またまた長くなってしまったので、次回に続きたいと思います。(まとめ下手だなおい)