本読みました。「日本人はどう住まうべきか?」

IMG_5333

ラジオで紹介されて読んでみたいなぁと思っていたら、人生の良き先輩であるN島さんが読み終わったとのことで、お借りしました。ありがとうございます(笑)

内容は、「さまざまな社会問題をふまえ、現代人の幸福を実現する住まいのあり方について、解剖学者と建築家が論じた贅沢対談集」です。(文庫本の裏表紙より引用)

・”持ち家こそがゴール”みたいな価値観は、アメリカが作った幻想
・モンゴルのパオやアフリカのサバンナでは大勢の人数が家に同居している。中こそが公共空間。(プライベートは外)
・完璧な住まいを要求する「住む側」と、責任を取りたがらない「作る側」のサラリーマン化が、どんどん建築を不自由でつまらないものにしている
・アメリカでは角の1 階の家賃を安くして、花屋やカフェを入れる。町並みをつくる
・昔の家制度は、ある意味長期的な視点で「住まい」を考えるためにプラスに働いていた。現代の年間予算というシステムでは、長期的な視点を必要とする都市計画なども、近視眼的にしか考えることができない
・完璧な都市や建物をめざす「ユートピア主義」ではなく、かつて日本人が持っていた「だましだまし」の精神を取り戻すことが肝要

などなど、面白い視点や発見がたくさんあって、興味深く読めました。(うろ覚えで、もしかしたら、だいぶニュアンス違うかも。メモとったりしながら読めばいいんだけど、めんどくさくていつもしない笑)

震災・津波で壊滅的なダメージを受けた街の復興についても、ふたりは警鐘を鳴らしています。津波で被害を受け一斉に高台に移住というが、高台に住むことのデメリットやリスクなどについては一切語られない。予測不能なただひとつのリスクを回避するために、そのリスクを許容せず、一切(あるいは周辺までも)排除するという考え方こそ危険だと口を揃えます。復興について、色々と考えさせられたし、このまま間違った方向に進んでしまうのでは、という漠然な不安を抱えてしまいました。

この本読んで、「人間、その時その時で生活スタイルが変わるんだから、別に家買うことだけがいいとは限らない。子どもが増えたら広い借家に住めばいいし、子どもが大きくなれば、好きなところに小さな部屋を借りるのもいい」みたいなことを高校時代の担任が言っていたことを思い出しました。当時はピンとこなかったけど、今けっこうしみる言葉だよなぁ。