本読みました。「Black Box」

伊藤詩織さん「Black Box」読んだ。記憶から抹殺したいような壮絶な体験を、第三者にもわかりやすく整然と記すだけでなく、現在の司法や捜査の仕組みへの問題提起、レイプ被害者救済に関する海外の事例や具体的な提言まで踏み込んでいて、ジャーナリストであることの挟持を感じた。

2人の間に合意があったかどうか、山口氏の行為が犯罪だったか、私には判断できない。けど、この本を読めば、詩織さんが山口氏を糾弾するのが目的ではなく、性犯罪の撲滅と、被害者救済の仕組みを切望しているのがは明白だ。詩織さんに対して、山口氏は、月刊Hanadaや動画で反論をしていたけど、客観的証拠に乏しい理屈で自分の正当性をただ主張しているだけ。最後まで見るに耐えなかった。どちらの言い分が正しいかはさておき、ジャーナリストとしては、詩織さんに軍配があがると判断せざるを得ない。(ちなみに、動画を見て、自分が持った超個人的感想は、控えめに言ってもクズの極み)

詩織さんの事件について話す時、時折女性でさえも、美人局・ハニートラップについての可能性について話すことに驚愕するけど(詩織さんが、というより一般的な話をしているんだと思うけど)、自分は終始、自分の家族にそういったことがおきたら、って考えながら読んでいた。そういった事態に陥った時、この本を読む前なら、きっと目の前の女性に何もできなかっただろう。この本を読んだからって、冷静に、適切に対処できるとも思わない。けど、読む前より、少しだけ寄り添うことはできると思う。

詩織さん、山口氏、どちらかの言い分が正しいかの言い合いには辟易する。私はそんな不毛なやり取りも詮索もするつもりはない。けど、そういった性被害に遭われてしまった方がどうしたら救われるのか、身の回りでそういったことが起こってしまったら、どう寄り添ってあげればいいのか、そういうことを考えていたい。

骨髄バンクから適合通知がやってきた(6)ドナー選定のお知らせ

新しいコーディネーターの方から、電話がかかってきました。そういえば、確認検査の結果が来て数日後、コーディネーターの方から担当が変わる旨、連絡がありました。聞きそびれちゃったんだけど、それがたまたまなのか、段階によって担当コーディネーターが変わるものなのかは不明。聞いときゃよかった。

内容は
・担当が変わったことのあいさつ
・最終的なドナー候補者に選ばれたとのこと
・現段階で都合のつかない日付
・最終面談の日程調整
・「本当にこのまま進めてもいいですか?お変わりないですか?」

など。

え、マジ!というのが率直な感想…。いや、決して嫌だというわけではないんだけれども、検査で引っかかるか、検査通過しても最終ドナー候補には選ばれないだろうって、心のどこかで思っていたのかも。嬉しいような、急にリアルに感じて少し怖くもあるような、そんな何とも言えない気分。っつーか、1〜2ヶ月くらいかかるのかと思いきや、血液検査の結果が出てからすぐ連絡が来たから、「もう!?」って感じ。

あと気になったのが、「患者さんの希望で選ばれた」みたいなこと言ってた気がするんだけど、患者さんどうやって選ぶんだろ。だって、たぶん情報そんな開示されてないと思うんだよな…。血液の状態?年令や性別?「自分の個人情報が知られるのは嫌」というわけではないんだけど、純粋な疑問として、医師ではなく患者が選べるのだとしたら、何を基準にしているのかが知りたいです。はい。(医師がドナー候補者の中から、最適な患者を選ぶ、というのならわかるんだけどね)

そもそも、一体何人の候補者から選ばれたのだろうか…。気になる…。

ちなみに、電話がかかってくるたび、常に聞かれる「提供の意思や体調にお変わりないですか?」の確認をされます。引き返すタイミングを事あるごとに設けてくれているんだなぁ。

家帰ったら、ちょうど「ドナー選定のお知らせ」が届いていました。もうここまで来たら、覚悟決めてやるしかない。(まだ引き返せるけど)

 

骨髄バンクから適合通知がやってきた(5)確認検査の結果が来ました。

確認検査からちょうど2週間、骨髄バンクから「血液一般検査結果のお知らせ」という手紙が届きました。

1ページめ、血液一般検査の結果は「骨髄バンクの基準では問題ありませんでした」と「骨髄バンクの基準を外れている項目がありました」のいずれかにレ点が記されるような様式でした。

写真でも分かる通り、私は後者の「外れている項目あり」のほうにレ点がついていました。さらにその下には「末梢血幹細胞提供基準」と「骨髄提供基準」と詳細がわかれており、私の場合「末梢血幹細胞提供基準」にレ点が、備考として手書きに「血管細目のため、バンク医師より、今回は骨髄提供のみでの進行指示がありました」と書いてありました。

確認検査のための採血のときに、血管が細すぎてとりづらかったためですね。

2枚めには細かな「検査項目」と「検査結果」、「日本骨髄バンク提供基準」の一覧がありました。こまかなところまで見る必要があるのだと、あらためて感じました。

数値が何を示しているのかはよくわかりませんが、なんか全裸を見られているような気分になるので、一応モザイクをかけておくことにします。

すべての項目において日本骨髄バンク基準内に数値は入っているので、実際は問題なし。

実は、手紙が届く数日前、コーディネーターの方から「問題ありませんでしたので、このまま先に進めさせてもらってもよろしいですか?」と確認があったのですが、実際に書面で各数値を受け取りますと、なんかほっとしますね。

この後は、ドナー選定の結果待ち、そして家族を交えた最終同意面談となります。

続く

骨髄バンクから適合通知がやってきた(4)確認検査してきました。

1週間ほど前(4月上旬)、某病院で「確認検査」と呼ばれるものをしてきました。

全然関係ないけど、日程や場所をなるべく詳細に記録していこうと思ったんだけど、ハンドブック見たら、提供日時や場所などの詳細は公表しないでくださいとなっていました。情報が特定されるのを防止するためらしい。そうだよね、ごもっともだよね。てなわけで、ぼかしていくことにしました。あしからず。

確認検査

★コーディネーター・調整医師が詳しい説明を行い、コーディネートを進めるうえで問題がないかなどを相互に確認します。
★面談後、調整医師が問診・診察を行い、問題がなければ採血します。
(ドナーのためのハンドブックより)

コーディネーターの方から、骨髄提供について、詳しく説明をいただきました。「ドナーのためのハンドブック」を使っての説明でした。すでに目を通してはいましたが、口頭でわかりやすく説明していただいたので、より理解が深まりました。以下、まとめ。

・提供の仕方は「骨髄提供」と「末梢血幹細胞提供」の2種類がある。前者はいわゆる一般的にイメージする骨髄採取。手術室で大きな針を指して、骨髄をとる。後者は、採取したい細胞(造血幹細胞)を増加させる薬を注射して、血液中にあふれださせて、それを成分献血みたいに採血→採取→戻すという方法。海外では主流になりつつあるらしい。どちらの提供方法にするかは、ドナーの意志が優先される。

・確認検査をパスしたからといって、必ずしも提供する(ドナーになる)わけではない。現段階では、あくまでドナー「候補」。正式にドナーになる確率は半分以下(約40%)と言われているそう。ドナーに選ばれなくても、「保留」いわゆる補欠要員として、コーディネート完了までは登録されることになる。ドナー選定されたかどうか知らされるまで、2週間〜2ヶ月程度要する。

・ドナー選定されると、ドナーと家族、コーディネーター、第三者の立会人など同席のもと、最終同意面談が行なわれる。今回の説明の内容を、もう一回家族にもするみたい。ここで最終的に提供するかの同意を求められる。もちろん、その場でYesかNoかを言わなくても、いったん家に持ち帰って相談してもOK。ただし、最終同意をした後は、後に引き返せない。

・手術までの日程や場所の調整がけっこう大変みたい。患者の容態とかドナーの仕事の都合とかの都合を合わせるのに、コーディネーターの方はたぶん毎回苦慮しているんだろうなぁということが伝わりました。

ひとしきり説明を受けた後、医師の方に血液を採取してもらいました。ちなみに、採血をする際、けっこう手間取っていました。献血のたびに言われるんだけど、なんか血管が細いんだか奥の方なんだか、刺そうとすると逃げるんだかで、取りづらいらしい。医師の方と「末梢血幹細胞提供は無理かもねー」なんて話をしました。骨髄注射こわい(いまさら)

確認検査以降のスケジュールはこんな感じ。

とりあえず、血液検査の結果待ちです。

続く

骨髄バンクから適合通知がやってきた(3)担当コーディネーターからの連絡・家族の同意

3月も終盤に差し掛かったところ、担当コーディネーターの方(女性)からお電話がありました。

これからこの方を窓口に、コーディネートをすすめていくとのこと。

電話で、かんたんな自己紹介と御礼、今後のスケジュール、家族(妻)の同意の確認といった内容を話しました。妻の同意があれば基本的には骨髄提供はできるらしいけど、両親が近くに住んでいたり、よく連絡をとりあうのであれば、念の為了解を取っておいてもらったほうがよいとアドバイスをうけました。

私はすぐ近くに両親が住んでおり、また仕事も一緒にしているので、2〜3日猶予をもらい、話をする時間を設けました。私もいい歳なので、まあこの辺は問題なくクリア。

ほどなくして、「担当コーディネーターのお知らせ」という手紙に、担当者の名前と連絡先の書いた封書が届きました。

確認検査の日程の調整で何回かやり取りしました。

「それでは当日、◯◯病院の入り口付近で、「ドナーのためのハンドブック」を目印に手に持っておりますので」

なんか、昔ネットで知り合った人と初めて会うときみたいでちょっとドキドキしたのは内緒。

続く

骨髄バンクから適合通知がやってきた(2)書類が郵送で届きました

2016年3月21日(火)

ポストの中に、大きなオレンジの封筒が届いていました。

手に取った瞬間、「あぁ、本当に来たんだなぁ」という感じ。送ってくださいと伝えたので、あたりまえだ。

「至急開封」とあったのに、開けたの翌日。すみません。

なにやら書類がいっぱい…。

「コーディネートのお知らせ(適合通知)」とあります。

「骨髄または末梢血幹細胞提供についてのご案内です」とあります。骨髄は何となくわかるけど、「末梢血幹細胞」…?なんじゃらほい

まずは、「提供意思確認書」。ドナーになる意志があるのか。家族の同意はとれているのか。連絡取れる時間帯などなど。

続いて、問診票が4枚(18問)と、面談施設の一覧。問診票は、予防接種とか健康診断とかみたいなやつです。面談施設は、日赤と北総病院を選択。

福島第一原子力発電所の事故により、100ミリシーベルトを超える放射線を浴びた人は、申告する必要があるようです。

最後に、「ドナーのためのハンドブック」。これが色々とわかりやすくて勉強になります。

全部書いて、返送しました。今日は24日(金)。1枚めに「お手元に届いてから7日以内にご返送ください」とあったのに、ギリギリになってしまいました。書類たくさんあると、アレルギー起こすの。すみません。

続く

骨髄バンクから適合通知がやってきた(1)1本の電話

はっきりいつかは覚えてないけど、たぶん1年かそこいら前。献血をした時に「骨髄バンク」へ登録しました。

娘が生まれたばかりで手術したこともあって、なんか自分ができることがあれば、、、くらいの気持ちで献血とかやってたんだけど、ある時、骨髄バンクの登録も一緒にやっていて、これまた何となく登録していました。つまり、正義感とか使命感とか、そういう熱意みたいなのは正直、あんまりなかったんですよね。

ところが、ある時、携帯に1本の見知らぬ電話が。とると、「日本骨髄バンク」から。「白血球の方が登録患者さんと一致したので、連絡しました」とのこと。

マジかよー。

いや、別にいやとかじゃないんだけど、登録しても何年も連絡こないこともある、って何となくイメージしてたので、割とすぐ電話かかってきて、なんだか意外でした。

口頭で意志の確認の後、郵送物を送るとのこと。これもなにかの縁。こんな自分でも、何かお役に立てるなら…。

2017年3月16日(木)のことでした。

実際に提供するまでには、けっこう段階があるようで、最終的に提供できるかどうかは不明だけど、とりあえず経過をブログに残していこうと思います。

続く。

本読みました。「日本人はどう住まうべきか?」

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ラジオで紹介されて読んでみたいなぁと思っていたら、人生の良き先輩であるN島さんが読み終わったとのことで、お借りしました。ありがとうございます(笑)

内容は、「さまざまな社会問題をふまえ、現代人の幸福を実現する住まいのあり方について、解剖学者と建築家が論じた贅沢対談集」です。(文庫本の裏表紙より引用)

・”持ち家こそがゴール”みたいな価値観は、アメリカが作った幻想
・モンゴルのパオやアフリカのサバンナでは大勢の人数が家に同居している。中こそが公共空間。(プライベートは外)
・完璧な住まいを要求する「住む側」と、責任を取りたがらない「作る側」のサラリーマン化が、どんどん建築を不自由でつまらないものにしている
・アメリカでは角の1 階の家賃を安くして、花屋やカフェを入れる。町並みをつくる
・昔の家制度は、ある意味長期的な視点で「住まい」を考えるためにプラスに働いていた。現代の年間予算というシステムでは、長期的な視点を必要とする都市計画なども、近視眼的にしか考えることができない
・完璧な都市や建物をめざす「ユートピア主義」ではなく、かつて日本人が持っていた「だましだまし」の精神を取り戻すことが肝要

などなど、面白い視点や発見がたくさんあって、興味深く読めました。(うろ覚えで、もしかしたら、だいぶニュアンス違うかも。メモとったりしながら読めばいいんだけど、めんどくさくていつもしない笑)

震災・津波で壊滅的なダメージを受けた街の復興についても、ふたりは警鐘を鳴らしています。津波で被害を受け一斉に高台に移住というが、高台に住むことのデメリットやリスクなどについては一切語られない。予測不能なただひとつのリスクを回避するために、そのリスクを許容せず、一切(あるいは周辺までも)排除するという考え方こそ危険だと口を揃えます。復興について、色々と考えさせられたし、このまま間違った方向に進んでしまうのでは、という漠然な不安を抱えてしまいました。

この本読んで、「人間、その時その時で生活スタイルが変わるんだから、別に家買うことだけがいいとは限らない。子どもが増えたら広い借家に住めばいいし、子どもが大きくなれば、好きなところに小さな部屋を借りるのもいい」みたいなことを高校時代の担任が言っていたことを思い出しました。当時はピンとこなかったけど、今けっこうしみる言葉だよなぁ。

Pジャクソンによる実写化希望w「鹿の王(上・下)」

2015年本屋大賞受賞作品。内容(「BOOK」データベースより)強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。その頭であったヴァンは奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、一群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼子を拾い、ユナと名付け、育てるが―!?厳しい世界の中で未曾有の危機に立ち向かう、父と子の物語が、いまはじまる―。

たまーに文学作品を読みたくなる時がありまして、ちょうどそんな気分の時に、本屋さんでたまたま手に取った作品。

病(ウイルス)発生の謎。帝国の情勢と、それぞれの部族の事情…。それらが複雑に絡み合い、微妙なバランスが保たれている世界が舞台の、極上ファンタジー小説でした。読んでいて、「うわーこれ、ピータージャクソンに実写化してもらいたいわー!」と思っていたら、案の定、作者の上橋菜穂子さんは、この手のファンタジー小説では有名な方だったのですね。。。

ちなみに、どうでもいい話なんですが、作者の名前が中学生の時に好きだった子と同じ名前で、それだけでレビュー☆5つけたくなりますね。本当にどうでもいい話ですね。はい。

作品の話に戻りますと、冒険小説の要素あり、謎解きミステリー要素あり、ナショナルジオグラフィックちっくな自然・共生的な要素もあり、本当にもりだくさんで、大満足でした!上下巻で結構なボリュームありますが、睡眠時間を惜しんで読みふけってしまいました。

支配された王国と、支配した帝国があったり、物語の終盤では一応犯人的な悪者?も出てくるのですが、決して弱者と強者、悪者と善人と、単純に割り切れないところが、この作品の惹かれるところでした。

ブックレビューでは、登場人物や舞台が多いといった意見も目につきましたが、登場人物はそれぞれ魅力的だし、丁寧に描写されているので、具体的なイメージも湧きやすく、個人的にはあまり気になりませんでした。

主人公のヴァンは、もう読み進めていくうちに、ロード・オブ・ザ・リングでアラゴルン役だったヴィゴ・モーテンセンでしかイメージできなかったし、もう一人の主人公ホッサルの父は、同じくガンダルフ役のイアン・マッケランだったんだよなぁ。けど、なぜかホッサルは窪塚洋介イメージだった(笑)繰り返しになるけど、そんな謎の配役で、ぜひロード・オブ・ザ・リングチームで実写化してもらいたいと思うのでありました。

読みました。「貯金兄弟」

有名国立大卒で広告マンになった、金遣いの荒い兄・宗一郎と、高卒で消防士になった貧乏性の弟・翔太。金銭感覚が正反対の兄弟の人生を追いながら、生涯年収や貯金、生命保険や住宅ローンについて学べる本。

経営コンサルタント・竹内謙礼さんと、公認会計士・行政書士の青木寿幸さんの共著第4弾です。

一般のビジネス書の形式と違い、小説のストーリーのなかにマネー・ファイナンスに関する知識を散りばめられているので、ついつい物語の展開が気になり、飽きずに読み進めていくことができます。

この「貯金兄弟」では、「知識豊富な弟・翔太が、兄の宗一郎や他の登場人物にファイナンスに関する知識を教えてあげる」といった場面がよく出てきます。「知らない人と知っている人の会話なので、非常にわかりやすく、頭に入ってくる気がします。

また、性格の違う兄弟の確執を中心に、お金に振り回される登場人物の人生が、その悲哀とともに描かれていて、物語としても非常に面白く読めました。(個人的には「切り替えろよ」の浜崎が好みでした笑)

文章全体は、非常に軽いタッチでユーモアたっぷりに書かれていて、すぐに読めます。お金のことや将来のことは、何となく難しかったり気が重くなったりで目を背けがちですが、いつかは必ず考えなくてはいけない時期が誰にでもやってきます。ビジネスマンになりたての方はもちろん、結婚を考えている方や、将来のお金に対して漠然とした不安を抱えている方は、ぜひお手にとってご一読していただければと思います。